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日本の図書館事始
¥3,960
日本における西洋図書館の受容 新藤 透 著 46判 336ページ 価格3,600円+税 ISBN978-4-86251-510-0 もともと日本に存在していた「文庫」の多くは、誰でも自由に利用できる図書館(ライブラリー)ではありませんでした。一般的に、「ライブラリー」を西洋から日本にいち早く紹介したのは、福沢諭吉であると言われています。 本書は、このスタート地点から見直し、日本人と西洋式の図書館との最初の接触が、天正遣欧使節にまで遡れることを詳らかにします。その後、西洋を訪れた日本人がどのような図書館を見学したのか。そして、西洋の図書館の様子をどのように伝えたのか。本書はその具体的な様相に迫ります。 目次 はじめに 第一章 天正遣欧使節の図書館発見 第一節 先行研究 第二節 天正遣欧使節のヨーロッパ派遣の目的 第三節 天正遣欧使節が見た西洋の図書館 第四節 慶長遣欧使節と図書館 第五節 日本の神学校に図書館はあったのか 第六節 西洋図書館は日本の文庫に影響を与えたのか 第七節 「鎖国」下の海外図書館情報 第二章 漂流民による海外図書館情報 第一節 江戸時代の海運と漂流 第二節 大黒屋光太夫のロシア体験 第三節 光太夫はロシアで図書館を見たのか 第四節 ジョン万次郎のアメリカ体験 第五節 万次郎が受けた教育と読書 第六節 漂流民と図書館 第三章 幕末遣外使節団が見た図書館 第一節 七回の遣欧米使節団 第二節 万延遣米使節団 第三節 文久遣欧使節団 第四節 福沢諭吉のヨーロッパ体験と図書館 第四章 明治政府の図書館導入政策 第一節 『西洋事情』の影響 第二節 京都の書籍会社・集書会社と集書院 第三節 明治政府の国立図書館構想 第四節 岩倉使節団 第五節 田中不二麿の図書館視察 第六節 フィラデルフィア万国博覧会と図書館 第七節 目賀田種太郎の図書館報告 第八節 明治初年の教育法規と図書館 おわりに あとがき 索引 著者プロフィール 新藤 透(シンドウ トオル) 1978年埼玉県熊谷市に生まれる。 2006年筑波大学大学院図書館情報メディア研究科博士後期課程修了。博士(学術)。 現在、國學院大學文学部教授。 専攻、図書館情報学、歴史学(日本近世史)。 主要著作に、『古代日本に於ける「図書館」の起源』(樹村房、2022年)、『戦国の図書館』(東京堂出版、2020年)、『図書館の日本史』(勉誠出版、2019年)、『図書館と江戸時代の人びと』(柏書房、2017年)、『北海道戦国史と松前氏』(洋泉社歴史新書、2016年)、『松前景広『新羅之記録』の史料的研究』(思文閣出版、2009年)などがある。
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海軍兵学校長の言葉
¥2,750
激動の時代に信念を貫いた 真殿 知彦 著 四六判 288ページ 価格2,500円+税 ISBN978-4-86251-508-7 学校の開校、リストラ、校内暴力、外国人教師の招聘、地方移転、ゆとり教育、英語教育、オリンピックの延期・中止問題、戦争、そして閉校。 明治~昭和の激動の時代に海軍兵学校で起こったことは、現代に重ね焼きされるようだ。 海上自衛隊幹部候補生学校(江田島)と、海上自衛隊幹部学校(目黒)の両方の学校長を務めた著者が、歴代校長の言葉で歴史を振り返り、激動の時代のリーダー像に焦点を当てる。 目次 第1章 黎明期 ~荒れた学校から紳士の教育機関へ ●生みの苦しみ「海軍兵学寮」 ●幅広い優秀な人材を集めることを企図した入学資格 ●勝海舟に「海軍はやめた方がいい」 ●カオス状態の「荒れた学校」 ●〝親分校長〟の登場 ●自分と教授は昇任、生徒はリストラ ●三人の海軍大将が幻になっていたかもしれない ●ダグラス軍事顧問団による混乱と変革 ●やりすぎたダグラスの突然の帰国 ●ポスト中牟田時代の校長たち ●怒り狂う榎本海軍卿、更迭される仁礼校長、飛ばされる権兵衛 第2章 発展期 ~江田島移転と海軍教育の確立 ●江田島移転の大英断はなぜ行われたか ●「赤レンガ」がない、揺れる「東京丸」、築地に戻りたい ●海軍大学校創立と「海大の父」坂本俊篤 ●マハンを呼べ ●海大教育の功労者 島村・山屋・秋山で完成する海軍戦術 ●人気投票第一位 島村速雄の「単縦陣」 ●「他人」が作った「円戦術」 ●天才秋山が完成させた「海軍戦術」 ●時代の寵児「山本権兵衛」 ●反本省派(反権兵衛派)二人の兵学校長 ●中牟田の首を切れ ●海軍教育グランドスラム達成者 第3章 束の間の平和 ~傑出した兵学校長たち ●軍縮の時代到来 ●海のない米沢が生んだ海軍大将:山下源太郎 ●「よいことならやろう」主義 ●軍艦を売って、大講堂を建設 ●日本海軍が生んだ逸材:鈴木貫太郎 ●国際情勢と「武士道」教育 ●鉄拳制裁の禁止 ●たかとの再婚と四発の銃弾 ●もう他に人はない ●「真面目」校長:谷口尚真 ●ブチ切れる東郷平八郎 ●「ゆとり教育?」:物議を醸した「ドルトンプラン」 第4章 危機 ~戦争勃発から終戦、そして海軍兵学校の解体 ●「五省」の導入:松下元 ●太平洋戦争開戦までの海軍兵学校長たち ●「任ちゃん」校長と日米開戦 ●「戦下手」と言われた海軍兵学校長:井上成美 ●歴代海軍大将の写真なんかはずせ ●軍事学より普通学を ●青田を刈っても米は取れない ●英語は絶対にやめない ●終戦工作:井上成美と高木惣吉 ●最後の海軍兵学校長:栗田健男 第5章 再興期 海上自衛隊幹部学校に招聘された二人の海軍提督 ●高木惣吉の幹部学校特別講義 ●海軍大将山梨勝之進の幹部学校特別講義 ●歴代海軍兵学校長たちの最期 著者プロフィール 真殿 知彦(マドノ トモヒコ) 1966年千葉県松戸市生まれ。1985年に筑波大学附属高校を卒業。1989年に防衛大学校を卒業後、海上自衛官に任官。2001年に筑波大学大学院地域研究研究科修士課程を修了。その後、アジア太平洋安全保障研究センター(ハワイ)、NATO国防大学(ローマ)の課程修了。 海幕防衛課長、第二航空群司令、海上自衛隊幹部候補生学校長、統幕防衛計画部副部長、横須賀地方総監部幕僚長、海上自衛隊幹部学校長などを経て、現在海上幕僚副長。
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アジアの一期一会
¥1,980
通りすがりの異文化交流 小牟田 哲彦 著 四六判 202ページ 並製 価格1,800円+税 ISBN978-4-86251-470-7 アジアの旅の面白さは「人」にある! アジアでは、公共空間はどこも混沌と喧騒に包まれている。人々は見知らぬ旅人にも気軽に声をかけ、お喋りに時間を費やす。少々の言葉の壁は気にせず、異邦人に強い関心を持って接してくる──世界70ヵ国余りを旅してきた著者が垣間見た、アジアの人々の等身大の姿、話した言葉、草の根のふれあい。ウェットな旅の、ささやかな体験談の数々。 目次 まえがき 1 中国人のふりをしなくてよくなった中国旅行の気楽さ 2 台湾で昭和二十年の日本語に触れる 3 『地球の歩き方』に写っていたパキスタンの老爺 4 平壌のカラオケバーで書いてくれた「人」という漢字 5 一週間乗り合わせるシベリア鉄道の長屋模様 6 人生初の酔いつぶれはソウルでの日韓飲み比べ 7 カザフスタンで即席ホームステイをする 8 樺太の市場で売っているキムチの由来 9 元・中国残留孤児の〝義兄妹〟に歓待された 10 ウズベキスタンの青年たちはアメリカに憧れていた 11 韓国で日本時代の級友や戦友の消息を尋ねられる 12 バングラデシュの国境駅で「男声合唱団」に飛び入り 13 アゼルバイジャン人との初会話は国境紛争の見解伺い 14 日本人旅行者が書き込む「情報ノート」の移り変わり 15 イランは世界で最も日本語が通じる外国(かもしれない) 16 中央アジアでは警察官にも要注意 17 駅のプラットホームに寝る子を見て 18 北朝鮮と携帯電話でつながれるか 19 フィリピンで出会った元・ジャパゆきさん 20 シリアの戦場跡でパレスチナを語る公認ガイド 21 砂漠のオアシスで日本語を学ぶウイグル族 22 西アフリカで役立った中国語と中国史の知識 23 旅行者が垣間見るイスラム女性の素顔 24 ベトナムでサッカー日本代表戦を観る 25 簡体字があふれる日本最南端の無人駅 26 アジア旅行時にもしタバコが吸えたなら 27 日本国外にある中央アジア各国の大使館でビザを取る 28 中国鉄道の切符売場で「外賓」扱いしてくれた頃 29 レバノンでミサイル攻撃された高速道路を走る 30 モスクの見学は管理人次第 31 チベットで鳥葬に参列する 32 パラオにあふれる青天白日旗と台湾人観光客 33 公用語に選ばれた東ティモールのポルトガル語 34 ベトナム北部山岳地帯の少数民族 35 ブータン招待旅行未遂 36 日本への招待状を求めた中国人行商 37 二重国籍の日本人旅行者から窺い知るアフガニスタン情勢 38 日本じゃ乗れないバイクタクシー 39 マレー半島の豪華急行を支えるクルーたち 40 韓国でデモを見る 41 中国の山中で乗車中の長距離バスが立往生 42 日韓を除くアジア各地に広がった北朝鮮レストラン 43 ガチョウ足行進の衛兵交代を見る 44 一般公開される国家指導者の遺体と対面 45 イスラム圏旅行者の飲酒事情 46 中央アジアの国境で身柄拘束される 47 体調を崩したアジアの旅人たち 48 インドの悪徳旅行会社で詐欺に遭う 49 中国語が使いにくかったチベット旅行 50 日本旅行の思い出を語ってくれた韓国初の陸軍大将 著者プロフィール 小牟田哲彦(こむた てつひこ) 昭和50年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒業、筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業科学専攻博士後期課程単位取得退学。日本及び東アジアの近現代交通史や鉄道に関する研究・文芸活動を専門とする。平成7年、日本国内のJR線約2万キロを全線完乗。世界70ヵ国余りにおける鉄道乗車距離の総延長は8万キロを超える。平成28年、『大日本帝国の海外鉄道』(現在は『改訂新版 大日本帝国の海外鉄道』扶桑社)で第41回交通図書賞奨励賞を受賞。 『鉄道と国家──「我田引鉄」の近現代史』(講談社現代新書)、『旅行ガイドブックから読み解く 明治・大正・昭和 日本人のアジア観光』(草思社)、『宮脇俊三の紀行文学を読む』(中央公論新社)、『アジアの停車場──ウラジオストクからイスタンブールへ』(三和書籍)、『「日本列島改造論」と鉄道──田中角栄が描いた路線網』(交通新聞社新書)など著書多数。日本文藝家協会会員。
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稲作文化の原郷を訪ねて
¥2,640
越系少数民族探訪 森田 勇造 著 A5判 224ページ 並製 価格2,400円+税 ISBN978-4-86251-460-8 「私は、十数年間にわたっていろいろな苦労と努力を重ね、やっとこの地に辿り着き、この保護された野生の稲草を現場で見ることが出来た」。稲作文化はどこからきたのか、その発祥地を探し続け、中国江南地方の旅を繰り返した調査記録。“方士”徐福の足跡を辿り、遺跡を観察し、断崖絶壁の崖墓を見て、稲作文化の痕跡を追っていく。また、越系民族の末裔である苗(ミャオ)族、侗(トン)族、壮(チワン)族、畲(シェ)族、タイ族、リ族と体当たりで交流し、稲作文化を肌で感じた体験記でもある。村の家で民族料理を味わい、時には酒を飲み合い、祭りで水をかけられた著者にしか描けない人々の生活を知ることができる。 360枚を超える記録写真をダイナミックに配置したレイアウト。色彩豊かな越系少数民族文化を堪能できる巻頭カラー16ページ。眺めて楽しい一冊になっている。 目次 はじめに 1 山東省 (1)蓬莱市 (2)泰山 2 江蘇省 (1)蘇州 (2)徐福村 3 安徽省 (1)銅陵 4 浙江省 (1)稲作文化の河姆渡遺跡 (2)紹興酒のふるさと (3)越王勾践の〝臥薪嘗胆〟 (4)畲族Ⅰ (5)畲族Ⅱ 5 舟山群島 (1)日本に一番近い花鳥山 (2)徐福の岱山 (3)舟山の古代稲作遺跡 6 福建省 (1)南山畲族の稲作文化 (2)武夷の崖墓と祖霊信仰の起こり (3)閩越国の古い下梅村と城村 7 江西省 (1)稲作文化の発祥地 (2)野生稲の群生地 (3)越系民族の懸崖墓地 8 貴州省 (1)苗族の新嘗祭 (2)旁海苗の豊年祭 (3)侗族の鼓楼 9 広西壮族自治区 (1)駱越の末裔・壮族 (2)越系民族の花山岩画 (3)壮族の二次葬 10 雲南省 (1)景洪タイ族の正月 11 海南省 (1)リ族の酒談話 あとがき 著者プロフィール 森田 勇造(モリタ ユウゾウ) 昭和15年高知県生まれ。昭和39年3月東京農業大学卒。 昭和39年以来、世界(142カ国)の諸民族の生活文化を踏査し続ける。同時に野外文化教育の研究と啓発、実践に努め、青少年の健全育成活動も続ける。元国立信州高遠少年自然の家所長。元国立大学法人東京学芸大学客員教授、現在、公益社団法人青少年交友協会理事長、野外文化研究所所長、野外文化教育学会顧問、博士(学術)、民族研究家、旅行作家、民族写真家。平成24年旭日双光章叙勲。